「こども誰でも通園制度」は、子育て家庭の多くが「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある中、全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に向けて、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付制度である。
具体的な制度設計に当たっては、基盤整備を進めつつ、地域における提供体制の状況も見極めながら、令和7年度には法制度化し、令和8年度には法律に基づく新たな給付制度として全自治体で実施すべく、令和5年度から各地で試行的な事業が行われている。
地域の実情に合わせた速やかな制度の導入に加え、育児と多様な働き方やライフスタイルの両立の推進のために、本区議会は政府に対して、下記の事項についての取組を強く求めるものである。
1 実施事業所が不足する地域では、十分な受入れ先を確保するための施策を講じること。
試行的事業の職員配置や設備基準は、認可保育所並みの水準となっているが、認可保育 所等の実施事業所が不足している地域においては制度の導入推進を図るためにも職員配置や設備基準を満たすための財政的措置を含む支援策を講じること。
2 自治体によって1人当たりの利用時間の上限を増やせるようにすること。
試行的事業では、補助基準上の1人当たり利用時間の上限は月10時間としているが、それぞれの自治体における乳幼児数や地理的特性によって、利用時間のニーズにばらつきが生じることが想定される。こうした中、全国の市区町村で実施する給付制度とすること
を前提としながら、自治体によって地域差が生じることについてどのように考えるのか、といった論点も含め、利用時間の在り方について検討すること。
3 障害児や医療的ケア児を受け入れられるようにすること。
障害児や医療的ケア児とその家族を支援する観点や、保護者の事情により通園ができない乳幼児についても家庭とは異なる経験や家族以外と関わる機会を創出する観点から、 「こども誰でも通園制度」においても障害児や医療的ケア児の受入れを認めること。
4 重層的な見守り機能が発揮されるような制度設計とすること。
「こども誰でも通園制度」を地域資源の一つとして整備し、「こども誰でも通園制度」と合わせて、地域に多様な子育て支援サービスを整え、潜在的待機児童の解消も視野に入れた重層的な見守り機能が発揮されるような制度設計とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月21日
内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画、孤独・孤立対策)、共生社会担当、財務大臣 あて |