本年8月、東京メトロ銀座線青山一丁目駅において、盲導犬を連れていた視覚障害者の男性が、ホームから転落し死亡するという大変痛ましい事故があった。さらに、その対策に動き出していた矢先、10月には、近鉄大阪線河内国分駅において、全盲の男性がホームから転落し、特急電車にはねられ死亡するという事故が発生した。
現在、1日に10万人以上の乗降客がある全国251駅のうち、ホームドアが設置されている駅は77駅にとどまっている。また平成28年3月末現在、全国約9,500駅のうち、ホームドアの整備が完了しているのは僅か665駅であり、駅の安全対策の観点からも、列車との接触や転落防止に効果が高いホームドアや転落防止柵の設置は急務である。
さらに、ホームドア等が設置されるまでの対策として、視覚障害者がホームの内側を判別できる「内方線付き点状ブロック」の整備も重要である。
現在、1日の利用者が1万人以上の駅における同ブロックの整備率は63%であるが、全駅において整備を進めるべきである。
よって、本区議会は政府に対し、視覚障害者をはじめ、駅利用者が安心して駅ホームを利用できるよう、ハード並びにソフト両面における総合的な転落事故防止対策の検討を急ぐとともに、駅ホームのさらなる安全性向上に向け、下記の事項について取り組むことを強く求めるものである。
1 ホームドアの設置にあたっては、全ての鉄道駅ホームの危険箇所の実態調査を速やかに行うこと。とりわけ、転落の危険性が高い駅については、現在計画中の駅とあわせて、速やかな設置を実現すること。
2 「内方線付き点状ブロック」については、全駅での整備を促進すること。
3 ソフト面の対応として、希望者への駅係員のアテンドや、一般旅客に対する誘導案内、さらには視覚障害者への積極的な声かけ等、事故を未然に防ぐ対策を強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年12月15日
内閣総理大臣、国土交通大臣あて
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